イソトレチノイン内服療法

どうしても治らないにきびに

基本的に、当院でのニキビ治療は保険治療が中心です。
しかし、重症・難治性な方で、通常の治療が効果的でない患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんへの選択肢としてイソトレチノイン内服があります。
イソトレチノインは、皮脂腺の分泌を抑制することで、強力にニキビを予防する内服薬です。
あくまで予防治療ですので、ニキビそのものを治す治療(抗生剤内服や面皰圧出)との併用をお勧めします。(ただし、保険診療と自費診療を同日に行う混合診療は法律で禁止されています)

基本的な治療方法

◆2つの内服法◆
 当院では1日20㎎を用いる中用量内服法と、1日10㎎の低用量内服法があります。
 中用量内服法の20㎎は1錠550円、低用量内服法の10㎎は1錠440円。
 いずれも一長一短ありますので、よく読んで選択をしてください。

◆基本的な飲み方◆
 脂肪分と一緒に腸で吸収されるので、油脂分を含んだ食事のあとに内服してください。
 1日1回毎日大体同じ時間であれば、朝昼夕食後いずれでもかまいません。
 内服を忘れた場合、次の日2錠飲んだりせず、1錠だけ飲むようにしてください。

◆注意事項◆
 テトラサイクリン系の抗生剤(ミノマイシン・ビブラマイシン)との併用はできません。
 大豆アレルギーの方は内服できません。
 口周囲の乾燥が出現します。リップクリームなどで対処していただきます。
 頭痛・下痢・薬剤アレルギーを起こす可能性があります。
 肝腎機能異常をきたす怖れがありますので、1ヶ月ごとに血液検査(2,200円)を行います。

 その他の副作用は内服法により異なります。

欧米で行われるイソトレチノイン内服療法は、1日40mgの内服を行う高用量内服が主流です。しかしその場合、うつ病の増悪に伴う自殺、視力障害、鼻出血、消化器障害など重篤な副作用が生じることが多くなります。
当院で行っている中用量・低用量内服法はそのような副作用が非常に少ないものですが、万が一に備えて、心身の異常を感じたら速やかに内服を中止し、当院にご連絡ください。

中用量内服法について

◆内服方法(中用量)◆
 治療は1日1錠20mg、6ヶ月が1クールです。
 基本的に1クール合計3,600㎎で治療は終了しますが、症状に応じて内服を再開します。

◆料金(中用量)◆
 初回登録料2,200円+薬剤代金(1錠550円)1ヶ月16,500円x6ヶ月+血液検査1ヶ月2,200円x5ヶ月=112,200円(消費税込)が1クールに必要な料金です。

◆注意事項(中用量)◆
 治療終了後、男性で6ヶ月、女性で2年間は避妊していただくことが必要です。
 同じ期間、献血もできません。

◆副作用(中用量)◆
 ほぼ全例に口周囲の乾燥が出現します。リップクリームなどで対処していただきます。
 ドライアイや肌の乾燥を生じることがあります。
 頭痛・薬剤アレルギーを起こす可能性があります。
 肝腎機能・脂質代謝に異常をきたす可能性がありますので、1ヶ月ごとに血液検査を行います。
 骨端線の閉鎖が早まり身長の伸びが止まることがあります。
 創傷治癒が遅延することがあります。骨折などがある場合は内服を中断します。手術やレーザー治療の併用は禁止です。
 うつ病などの精神疾患が増悪することがあります。
 まれに角膜混濁や夜間視力の低下を生じることがありますが、中止にて回復します。
 まれに潰瘍性大腸炎などの腸疾患が発症することがあります。

低用量内服法について

◆内服方法(低用量)◆
 治療は基本的に3ヶ月が1クールです。1錠10mg。
 まず初めの1ヶ月は、1日1回1錠を服用します。
 1ヶ月間の内服が終わった時点で自覚的な効果は強くありませんが、すでに皮脂腺の委縮は始まっています。
 2ヶ月目からは、2日に1回1錠に減量します。2ヶ月目から効果が実感できるはずです。
 3ヶ月目は、さらに3日に1回1錠を1ヶ月服用して治療は終了です。
 ただし効果の弱い方は、3ヶ月目以降も2日に1錠のままで継続することもあります。
 治療終了後、約半年間効果が続きます。それを過ぎると効果は途切れますので、症状に応じて内服を再開します。通常2-3クールで治療は終了となります。

◆料金(低用量)◆
 最初の1クール目にかかる料金は、
 初回登録料2,200円+薬剤代金(1錠440円)3ヶ月合計24,200円+検査代金2,200円x2回=30,800円(消費税込)です。
 2クール目3クール目は、初回登録料が不要なので28,600円。
 3クールの合計が88,000円になります。
 さらに2日に1錠の用量で1ヶ月追加すると、プラス8,800円がかかります。

◆注意事項(低用量)◆
 治療終了後半年間は完全に避妊していただくことが必要です。
 内服パターンがイレギュラーになった場合、女性は2年間の避妊をお願いします。
 同じ期間、献血もできません。

◆副作用(低用量)◆
 ほぼ全例に口周囲の乾燥が出現します。リップクリームなどで対処していただきます。
 頭痛・下痢・薬剤アレルギーを起こす可能性があります。
 肝腎機能に異常をきたす可能性がありますので、1ヶ月ごとに血液検査を行います。

低用量内服法と中用量内服法の比較

それでは、どちらの内服法を選択すればよいでしょうか?
大まかな原則としては、
「症状が重い方ほど中用量がよく、副作用を抑えたい方は低用量がよい」
ということになります。
ただし料金については、一概には言えません。

◆料金の比較◆

  中用量内服(3,600mg) 低用量内服(1クールあたり550mg)
1クール目 初回登録料2,200円
+薬剤代金1ヶ月16,500円x6ヶ月
+検査代金2,200円x5回
=112,200円
初回登録料2,200円
+薬剤代金3ヶ月合計24,200円
+検査代金2,200円x2回
=30,800円
2クール目 薬剤代金3ヶ月合計24,200円
+検査代金2,200円x2回
=28,600円
3クール目 薬剤代金3ヶ月合計24,200円
+検査代金2,200円x2回
=28,600円
以降、1ヶ月追加 薬剤代金6,600円+検査代金2,200円=8,800円
症状が軽い方は低用量のほうが安くすみますが、中等症以上の方は中用量のほうが最終的な支払いは少なくなる見込みです。

◆副作用の比較◆
中用量でのみ気を付けるべき副作用は、
 〇骨端線の閉鎖により身長の伸びが止まること
 〇創傷治癒の遅延、レーザー治療併用の禁止
 〇精神疾患の増悪
ですので、
 ◎10代でこれからの身長の伸びに期待している方
 ◎定期的にレーザー脱毛をしている方、骨折などの治療中の方
 ◎うつ病などの精神科疾患のある方
以上の方は、低用量内服による治療になります。

◆避妊期間の比較◆

  中用量内服 低用量内服
男性 内服終了後半年 内服終了後半年
女性 内服終了後2年 1クールが通常通り3ヶ月で終了している場合、内服終了後半年。
1クールに4ヶ月以上内服している場合、内服終了後2年。
表より、女性の場合は結果的には中用量のほうが早く妊娠が可能になるケースもあります。

いずれの内服法も、途中で変更することは可能です。 
どうしても判断がつかない場合は、低用量内服法からはじめられることをお勧めします。

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