水虫とは、正式な名称を「足白癬」といい、白癬菌というカビの一種が足の皮膚に感染したものです。もちろん、白癬菌は足だけにつくわけではありません。股につくとインキンといったり、体につくとタムシといったり、いろいろな俗称で呼ばれています。
ここでは、白癬症について診察室でよく質問を受ける事柄について、わかりやすく一問一答形式で答えていこうと思います。
Q1. そもそも水虫って治るの?
A1 もちろん治ります。水虫を治す薬を発明したらノーベル賞といわれたのも昔の話で、今のお薬は、水虫の原因菌である白癬菌をしっかりと破壊してくれます。ただし、日本の湿気の多い気候は白癬菌の繁殖に適しているので、いつ再感染しても不思議ではありません。ですから、一度治療したら二度と再発しないというわけにはいかないようです。
Q2. 水虫はお風呂でうつる?
A2 水虫の菌が、皮膚にくっついてから、しっかりと入り込むまで、健康な皮膚で48時間、傷ついた皮膚でも2時間はかかります。湯船の中に菌がいても、湯上りにシャワーのお湯などできっちり流せば、まず感染の心配はありません。ただし、足拭きマットなどに菌がいると、そこを介して感染することは良くあることなので、「お風呂自体は大丈夫だけど、お風呂上りに感染の危険がある」といえるでしょう。他に、家庭内で感染の危険があるのは共用するスリッパです。洗濯物は、一緒に洗ってもまず大丈夫です。
Q3. 水虫の菌は体の中に入る?
A3 水虫の菌は、表皮から下に入り込むことはありません。 ただし、水虫で皮膚が傷ついていると、そこから通常のばい菌が入り込んで、脂肪や筋肉にまでばい菌の感染がおこることは珍しいことではありません。 心配のし過ぎもよくありませんが、たかが水虫と油断せず、軽症のうちにしっかりと治療をしましょう。特に糖尿病のある方は、ばい菌の感染を起こしやすく、またそれが壊疽などの原因になりやすいので注意が必要です。
Q4. 爪の水虫は飲み薬でしか治らないと聞きました。
A4 爪に入った水虫の菌は、塗り薬だけではなかなか治癒にいたりません。したがって、確実に治そうと思ったら飲み薬を飲むのが良いでしょう。ただし、この飲み薬も、数ヶ月から半年は続けることが必要ですし、肝臓が悪くなる副作用があるので、持病のある人やお年寄りには使えないことがあります。内服中は定期的な血液検査が必要です。治療のメリットとデメリットをよく医師と相談した上での選択が肝心です。
Q5. 足の裏に小さな水ぶくれができて痒い、気がつくと手にも同じようなものが。これって水虫がうつったの?
A5 足底に水ぶくれが出来る病気は、もちろん水虫だけではありません。確実な診断には、顕微鏡で菌を確認する検査が必要です。まず、皮膚科医の診察を受けてください。また、足の水虫が手にうつることも当然ありますが、特別なケース(絶えず手袋をしていて手が蒸れているとか、糖尿病などで免疫力が下がっているとか)以外は比較的まれです。
Q6. 市販の水虫の薬を塗っても治らない。やっぱり市販の薬は弱いの?
A6 最近の市販のお薬は、病院で出されるものと同じくらいの強さのものが多くなっています。ただし、同じ水虫でも、ぐじゅぐじゅして炎症の強い状態では、菌を破壊する薬はなかなか効果がなく、まず炎症を抑える治療が必要になることがよくあります。簡単に手に入る市販薬は確かに便利ですが、面倒でも医師の診察を受けた方が、結局は治癒への早道だと思います。