食物で蕁麻疹が起こる原因は三つです
蕁麻疹というと、さばなどの青魚やカニ・エビなどの甲殻類を食べたときのものを想像しがちです。しかし、食物アレルギーからくる蕁麻疹は、子供には多く見られますが、大人にはあまり見られません。
食物で蕁麻疹が起こる原因は三つです。
ひとつは、食物に対してアレルギーがある場合です。前述の魚介類の他にも、そばや小麦のアレルギーや、珍しいところではりんごに対するアレルギーなんていうのもあります。残念ながら、これらのアレルギーは一生続く事がほとんどで、症状が出るたびに悪化していきます。ですから、子供のうちにある食べ物のアレルギーが出ると、大人になってもその食べ物は食べられないわけで、本人もそれがわかっていますから、大人の食べ物による蕁麻疹は少ないことになります。
ふたつめが、食物に対するアレルギーがなくても、食物自体がヒスタミンをたくさん含んでいる場合、それを大量に摂取すると、ヒスタミンが原因の蕁麻疹が起こります。 ヒスタミンを多く含む食品は、干物、ソーセージ、トマト、ほうれん草、たけのこ等いろいろあります。ただし、ヒスタミンが蕁麻疹を引き起こすには、それなりに大量の摂取が必要ですから、体の大きい大人ではあまり起きません。体の小さいお子さんはそれなりの摂取でも症状が出ますので、上記のような食品を一時に大量に摂取させるのは好ましくありません。
みっつめの食物性蕁麻疹は、サリチル酸アレルギーによるものです。サリチル酸は鎮痛剤などに含まれていることが多いですが、これと同じような物質が食品添加物や合成着色料に含まれています。ですから、鎮痛剤アレルギーがある人は、外食時やお惣菜を買うとき、また海外製の色とりどりのお菓子を食べたりするときなど注意が必要です。
さて、ここまでで、大人に生じてくる蕁麻疹は、食物以外の原因が多いということはわかっていただけたと思います。
では、食べ物以外の原因とは一体何なんでしょうか?
ちょっと難しい話ですが、体の免疫などつかさどる細胞やその細胞が出す因子がおかしくなってしまう事によっておこります。もともと、体の免疫細胞は、お互いがお互いを制御しあい、監視しあって、正常な状態を作っています。これがちょっと狂ってしまうと、ひとつの細胞がやたらと増えてしまったり、活動が盛んになったり、過敏に反応をするようになったりします。さらに悪いことに、人間の免疫細胞のシステムは、一度崩れだすと、自然に治っていくよりは、どんどんと悪い方に傾いていきやすいという性質があります。まるで、雪玉が斜面を転がってどんどん大きくなるように、蕁麻疹もどんどん出やすくなってしまうわけです。
雪玉の回転を止めましょう
蕁麻疹で皮膚科の病院にかかった人は、「原因はわからない」といわれてがっかりして帰ってきた経験がおありかもしれません。 蕁麻疹の原因、つまり、最初の小さな雪玉は、ほんの些細なこと、ストレスかもしれません、乾燥かも知れません、お酒や暖房などで体が温まって引っ掻いちゃったことかもしれません。でも、転がり始めてしまった雪玉にとって、一番最初が何であろうと、あまり関係がありませんし、大きくなった雪玉を見て最初の状態を見破ることは困難です。 それより大事なのは、早く回転を止めて、これ以上大きくならないようにすることです。そうすれば、そのうちに春が来て、いつの間にか雪は融けていってくれます。
蕁麻疹の治療は、なんといっても、抗アレルギー剤を飲むこと。一種類で効果がなければ、二種類三種類を重ねることもあります。幸い、抗アレルギー剤は副作用が非常に少ないお薬ですから、症状が長引いても安心して治療を受けていただけます。